かすみ草の恋

アラフィフの今、出逢ってしまった運命の人。
お互い家庭がありながらも、最後の恋人として大切に愛を育んでいます。

セラピー効果

師走になり、トシの忙しさに
ますます拍車がかかっている。


まず、週7日の連続夜勤。


さらに日中は年末の得意先回りや書類仕事、
打ち合わせに給与計算。


毎日睡眠時間は
細切れで3時間もあればいい方らしい。



当然、LINEの返信も途絶えがち。


それどころか朝一番で私が送ったLINEが
午後遅くになってようやく既読になるくらい。


予め、
T:「年末と年度末(3月)は
携帯を開く間もないくらい忙しい」
と聞いていたので、
ここはじっと待つしかない。



LINEを既読にすらできないくらいの忙しさだから
毎日のようにあった電話もなくて当然だろう
と思っていた。


ところが昨日、9時過ぎに着信が。


取引先に向かう車の中から、
電話をかけてきてくれたらしい。


いつものごとくとりとめもない話を10分くらいして、
K:「お仕事頑張ってね〜!」
と電話を切った。



小1時間ほどして、またトシから着信。


T:「取引先との交渉、終わったよ」


K:「お疲れさま!どうだった?」


T:「うん、結果はまだわからないけど、
オレとしては上手くいったと思う。


かすみのおかげだよ。ありがとう。」


とお礼を言われたけれど、
私としては理由がわからず
頭の中は???だった。



K:「私、何もしてないよ〜」


T:「実は今朝電話したのは、
今回はちょっと大事な交渉だったから、
その前にかすみの声を聞いて
気持ちを落ち着かせたかったんだ。


必要以上に力が入り過ぎてる、
と自分でもわかったから、
かすみと話すことで心を鎮めようと思って。」



私との他愛ないおしゃべりが
そんな風に役に立っているなんて。


驚くと同時にとっても嬉しかった。



T:「前にも言ったと思うけど、
かすみと話していると
気持ちがすごく落ち着く。


今までだったら、大切な交渉の前は
集中して考えたいから、
彼女に電話するなんてあり得ない。


でもかすみと話していると
いい意味で力が抜けるし、元気が出る。


かすみと話すことはオレにとって
セラピーみたいなものかも。」



K:「なんなら、色っぽい声でも録音して
送ってあげよっか?!」


T:「それは生で聞くからいいよ(笑)」


最後はそんな冗談で〆て、
トシはまた激務に戻って行った。



会えなくても私にもできることがある。


それがわかったことで、
ほっこりと幸せな気分になった12月の朝だった。

気遣いの人

前回の記事で
トシは有言実行の人だと書いたが、
また、気遣いの人でもある。


例えばランチなりディナーなり
食事を伴うデートのときのお店は
いつもトシが選んでくれる。


イタリアンやフレンチだったり、
お寿司や焼き肉だったり、
その時々でジャンルはバラバラ。


共通しているのは、
私が今食べたいと思っているものに
ドンピシャのチョイスだということだ。



先週のデートでは、
目の前でシェフが焼いたお肉を出してくれる
ステーキ屋さんに連れて行ってくれた。


ちょうどガツンと美味しいお肉が食べたいなぁ、
と思っていたところだったので、
本当に驚いた。


K:「なんで私がお肉食べたい、ってわかったの?」


T:「ちょっと前に電話で話していたとき、
ステーキの焼き方の話になったでしょ?


そのときかすみが
「プロが焼いてくれるステーキって、
全然違うよね〜」
って言ってたから。」



確かにその一週間くらい前に、
電話でそんな会話をしたことはうっすら覚えている。


K:「ステーキの話してたら、
すごくステーキが食べたくなっちゃった!


わが家の今夜の献立はサバの味噌煮なのに(笑)」


と言ったことも。


そんな些細な会話の切れ端を覚えていて、
お店を選んでくれたのだ。



そういえば日々の電話の中で、トシはよく
T:「かすみの家の今夜のメニューはなに?」
と尋ねてくる。


何気なく話していたけれど、
もしかしたらそれも次のデートのため…?


T:「ばれたか(笑)


例えばかすみの家の献立に和食が続いていたら、
たまにはイタリアンとかフレンチがいいな、
と思うかもしれないし、


飲み会や友達とのランチ会が続いてる
って話を聞いたら、
あっさりと和食がいいかな、とか考えてる。


外しちゃうこともあるかもしれないけどね。」



また、前にも書いたが、トシは支払のときも
決して私に金額がわからないようにしている。


レストランの支払は
たいてい食事が終わる直前くらいに
T:「ちょっと失礼」
と言って立ったときに済ませてくれている。


ホテルでは、お部屋の希望を私に聞いた後、
T:「エレベーターのところで待ってて」
とトシが選んできてくれる。


支払のときは、
T:「先に車に乗ってて」
と鍵を渡され、私は先に車で待っている。


さらにはよく待ち合わせに使っている
コインパーキングでは、
一旦荷物を持って私を車に送り届けてから、
駐車代を支払って車に戻り、
T:「気をつけて帰るんだよ」
と軽いハグやキスをくれて扉を閉める、
という徹底ぶり。



一応私もバブルの端っこを体験した世代なので、
今までも男の人にご馳走になったり
支払をしてもらったことは何度かある。


が、トシほどスマートかつ細やかに
気を配ってくれた人は他にはいない。


有言実行で気遣いが半端なくて
何よりも私を心から愛してくれるトシ。


私もそれに見合う女性になれるよう、
もっともっと自分に磨きをかけようと思う。

有言実行の人

今日はトシとランチデート。


先週の終わり頃、電話で
「来週どこかで会おう」
と言われていたのだけれど、
なかなか日程が決まらなかった。


付き合い始めの頃は
こういう風に会う日が決まらないと
「私に会いたくないんじゃないか?」
と不安になり、
何度か自爆しそうになったことがある。


でも今は、トシは一旦こうと決めたら
何があっても実行してくれる、
ということがわかっているので、
焦らず騒がず待つことができるようになった。



トシと付き合い始めて1年ちょっと経つが、
ドタキャンどころか、どんな小さなことでも
約束を破られたり忘れられたりしたことは一度もない。


トシが「今週か来週会おう」と言えば
必ず時間を作ってくれる。


そう、トシは有言実行の人なのだ。


経営者で付き合いも多岐に渡り、
天候に左右される仕事をしているために
スケジュールも読めないトシにとって
これは並大抵のことではない。



今回も、今週の私のスケジュールは伝えてあったから
必ずどこかで時間を作ってくれることはわかっていた。


でも、年末が近いこともあって、
トシはいつにも増して仕事が忙しい様子。


私の方から昨日、
K:「今週会おうって言ってくれてたけど、
お仕事忙しいなら延期して構わないからね。」
と伝えた。


T:「なかなかこの日って言えなくてごめん。
でも、明日の日中ならなんとかなりそう。


ご飯食べるだけになるかもしれないけど、
それでもいい?」


もちろんトシに会えるのなら、
どんな形だってウェルカムだ。



今回トシが連れて行ってくれたのは、
目の前でシェフがお肉を焼いてくれる
ステーキハウス。


ランチ後、
きっとトシはすぐ仕事に戻らなくてはならないのだろう、
と思っていた。


ところが
T:「午前中に午後やらなくちゃいけない仕事
片付けてきたから、
夕方5時頃までなら一緒にいられるよ。」
と。



トシは今、ほぼ休みなく毎日夜勤だ。


夜8時から翌朝5時までの作業で、
帰って来てから4時間ほど寝て、
午後は事務仕事や打ち合わせをする、
というスケジュール。


それが午後の仕事を午前に前倒しした、
ということは
全く寝ていないということになる。


T:「大丈夫、1日寝ないくらいでは死なないよ」


とトシは平然としているが、
私のためにそんな無理をしてくれたんだ、
と胸が熱くなった。



少しでもトシに休んでもらうため、
ランチ後は二人だけになれる場所に移動。


とはいえ、肌と肌を触れ合わせたら
やっぱり何もしない訳はない(笑)


いつもより少し優しくゆっくりと
愛を確かめ合った。



それからトシに
フットマッサージとハンドマッサージを。


フットマッサージの時点で
トシは既にうとうとしていて、
ハンドマッサージまで終えたときには
完全に寝落ちしていた。


寝顔を眺めながら、
力の抜けた手の指先にそっとキスをする。


髪の毛の先から足の指まで
トシのすべてが愛おしくて。


こんな風に思える相手と巡り会えた幸せを
改めて感じた午後のひとときだった。