かすみ草の恋

アラフィフの今、出逢ってしまった運命の人。
お互い家庭がありながらも、最後の恋人として大切に愛を育んでいます。

指先から溢れる愛

金曜日は、トシと1ヶ月半ぶりのデートだった。


一分一秒でも長く一緒にいたいから、
待ち合わせは9時半と早め。


今日こそは私の方が早く着いていよう、
と思っていたのに、
結局時間ギリギリに…。



途中で到着時間の確認の電話がトシから入った。


K:「ごめん、結局ギリギリになっちゃいそう…。」


T:「いいよ、焦って事故したらいけないし、
遅れてもいいからゆっくりおいで。」


この会話はほぼ毎回の定番になりつつあるが、
トシの声を聞くとドキドキと同時に
気持ちが落ち着くから不思議だ。



いつもの待ち合わせ場所の駐車場に着き、
トシの車に乗り込む。


T:「おはよう、かすみ。」


K:「おはよ…。」


久しぶりだからか急に照れくさくなり、
トシの顔をまともに見られない。


T:「長く待たせて、ごめんね。」


うつむき加減の私を機嫌が悪いと勘違いしたのか、
トシが謝ってくれる。


K:「ううん、この時期はお仕事忙しいって
分かってたから。」



車が動き出して、トシが前を向いたので、
心置きなくトシの横顔を眺める。


でも信号で停まって、トシがこちらを向くと
パッと視線を逸らしてしまう。


T:「なんだよ〜(笑)」


K:「だって…。久しぶり過ぎて
ドキドキしちゃうんだもん。」



いつもは車に乗り込んですぐ、
私の方から手を繋ぐのだけれど、
今日はタイミングを逃してしまった。


信号待ちの間、
肘掛けに置かれているトシの手。


たった数センチの距離が、もどかしい。



膝に置いた手を少しずらし、
小指の先でそっとトシの小指に触れてみる。


するとトシが小指をグッと私の小指に絡め、
そのまま私の手の甲を包み込む。


いつでも暖かい大きなトシの手。


優しく強く握りしめてくれる指先から
溢れんばかりの愛情を感じた。



私たちの一日は、今、始まったばかり。