かすみ草の恋

アラフィフの今、出逢ってしまった運命の人。
お互い家庭がありながらも、最後の恋人として大切に愛を育んでいます。

ステージを楽しむ

婚外恋愛の辛さの一つとして、
「先が見えない不安」があると思う。


お互いが独身であれば、
当然ゴールは「結婚」だ。


そこへ至る前に別れてしまう、
あるいはどちらかにそこまでの気持ちがない、
というケースもあるだろう。


しかし、達成できるかどうかはわからなくても
ゴールが設定されている、ということは、
明白な指標となることは間違いない。



婚外恋愛の場合、
殆どのケースではまず家庭ありきのため、
「結婚」というゴールを
ハッキリと掲げることは難しい。


もちろん、いずれは一緒になりたい、
と願っているカップルは多いと思うが、
独身同士のようにいつ頃、
という明確な日時は決めにくいだろう。



また、一緒になる前に
乗り越えなくてはならない
ハードルの高さと数も、
独身同士とは比較にならない。


「いつか一緒になろう」というのは、
婚外カップルの場合、目標というより願望、
あるいは夢といった方がいいのかもしれない。



でも、逆に言えば、婚外恋愛は
結婚と言うゴールがない、あるいは曖昧な分だけ、
恋人同士というステージを長く楽しめる、
と考えることもできる。


どんなに愛し合っているカップルであっても、
出会った当初のドキドキや緊張感は
同じ相手とはもう味わうことはできない。


それはその期間限定の特殊な心理状態であって、
永遠に続くものではないから。



同じように、もし様々なハードルを乗り越えて
一緒になることができたとしたら、
次に待っているのは、生活のステージだ。


毎朝大好きな人の顔を見て一日が始まり、
誰はばかることなく堂々と一緒に外を歩くことができ、
夜は毎晩、大好きな人の体温を感じて眠りにつく。


その安定した幸せの代わりに、


会いたくて会いたくて堪らない時期を過ごした後
好きな人に会った瞬間の
全身の細胞が震えるほどの喜び、


彼から届くほんの一言で、
心に羽が生えたように浮き立つ瞬間、


彼のことを思うだけで、
胸が痛くなるほどの切なさ、


こうした恋の醍醐味は、手放さざるを得ない。



もちろん、不安より安心の方がいいに決まっているし、
ドキドキや切なさを手放しても、
愛する人と毎日一緒にいられる方が何倍も幸せだろう。


でも、現時点ではどうしたって叶わないそうした生活と
今の状況を比べて悲観するのは勿体ない気がする。



今、トシと私は恋愛のステージにいる。


大好きな人と手と手を取り合って
このクネクネと入り組んだ恋愛道を探検する喜びは
今しか味わえない貴重なもの。


たまに落とし穴があったり、
キケンな動物が飛び出してきたりするかもしれないけれど、
二人でいたらヘッチャラだ。


そして運良く「一緒になる」というゴールにたどり着けたら、
二人で一緒に次のステージの扉を開けばいい。


または、このまま二人で一生恋愛ステージを楽しむのも
幸せなことに違いない。



長い人生の中には、他にも色々なステージがあるだろう。


今はトシが激務でなかなか思うように会えないが、
その内暇になって、
四六時中会えるステージがやってくるかもしれない。


どちらかが健康を損なって
会えないステージがあるかもしれないし、
二人揃って100歳近くまで元気で、
一緒に老人ホームに入るステージ(?)
があるかもしれない。



どんなステージにいたって、
その状況を受け入れ、
そこで得られる幸せを大切にする。


そうできたら、きっと一生
「幸せな二人」でいられることは間違いないだろう。