かすみ草の恋

アラフィフの今、出逢ってしまった運命の人。
お互い家庭がありながらも、最後の恋人として大切に愛を育んでいます。

真夏の夜の夢<その1>

夕方5時に、トシと待ち合わせ。


私は家にいてもソワソワして落ち着かず、

約束の時間より10分も早く着いて

トシが来るのを待つ。



トシは5分前に到着。


いつもはトシの方がずっと先に来ていて、

私が時間ギリギリだから、今日は逆。


そんなところからも、

トシがめいっぱい早めに

時間を設定してくれたことがわかる。



一ヶ月半ぶりに会うトシは、

やはり毎日炎天下での激務のせいで

かなり疲れているようだった。


それでも、

待ち合わせの駐車場でトシの車に乗り込むと、

すぐに私の手を握って

「待たせてごめん」

と言いつつ、ニッコリと笑うトシ。


私もギュッと手を握り返し、

その温もりに心まで暖められる。



食べ物も飲み物も予め私が用意していたので、

車は真っすぐ二人きりになれる場所へ。


部屋に入って落ち着くと、

「おいで」

トシがソファの上で両手を広げて誘ってくれる。


その腕の中に迷うことなく飛び込んで、

ギュッとトシにしがみつく。



広い背中

逞しい腕

少しチクチクする髭


ああ、トシだ…!


そのまましばらくソファの上で、

言葉もないまま固く固く抱き合っていた。


<…続く>