かすみ草の恋

アラフィフの今、出逢ってしまった運命の人。
お互い家庭がありながらも、最後の恋人として大切に愛を育んでいます。

「〜(な)人」

以前にも書いたが、
トシは日本人男性にしては珍しく、
褒め言葉をよく口にする。


「今日も可愛いね。」
「とってもキレイだ。」
などなど。


私は決してキレイでも可愛くもない、
どこにでもいるアラフィフ女子。


褒め言葉に免疫がないため、
最初の頃はどう反応していいかわからず、
オタオタしてばかりだった。



でも、付き合いが深まるにつれ、
トシがお世辞や嘘ではなく、
本心から褒めてくれているのがわかってきた。


何十人もの女性と付き合ってきたトシが
そう言うのだから
きっと私にもどこか
魅力に感じてもらえる部分があるのだろう。


それに、相手が褒めてくれるのにいつも
「え〜、そんなことないって!」
と全面否定するのも、考えてみたら失礼な話だ。


褒めてもらったら素直に「ありがとう♪」と言い、
その部分をより一層磨くようにしようと決めた。



そんなトシがよく使う褒め言葉の表現は、
「〜(な)人」


例えば、
「なんて可愛い人なんだろう!」


「素直な人だね〜」


「かすみは本当に聡明な人だ」


「おやすみ、愛しい人♡」
といった具合。


「〜(な)人」と褒められたことは、
記憶にある限り初めて。


最初は照れくさかったけれど、
だんだんとその褒め言葉が
とても嬉しく感じられるようになった。



一昨日電話で大笑いした後で
トシから届いたおやすみメッセージには、


「おやすみ、楽しい人♪」


とあった。


もっとたくさん「〜な人」の称号を得られるよう、
頑張ろう!

名前を呼んで

私の本名(ファーストネーム)はちょっと変わっている。


今まで50年近く生きて来て、
2人しか同名の人と出会ったことがない。


有名人を含めても、片手で余るくらいだ。


いわゆるキラキラネームではなく、
どちらかと言うと古風な名前なのだけれど。



子供の頃は、自分の名前があまり好きではなかった。


観光地のお土産物で必ずあるネーム入りのキーホルダーで
自分の名前を見つける可能性はゼロ。


名乗った時に一瞬「え?」という顔をされるのも
恥ずかしかった。



最初にトシに本名を教えたとき、
T:「素敵な名前だね。貴女に似合っている。」
と言われ、とても嬉しかったことを覚えている。


そして
T:「○○ちゃん、○○さん…、
どう呼んだらいいか色々考えたけど、呼び捨てでもいい?」
と。


K:「いいよ。私はアナタのこと、何て呼べばいい?」


T:「かすみも呼び捨てにして。
その方が、お互いグッと身近に感じるでしょ?」



実は私はそれまで、父親以外の異性から
呼び捨てで呼ばれたことがなかった。


今まで付き合ったことのある人たちは、
本名を縮めたニックネームか、
それに「ちゃん」をつけるケースが多かった。


夫に至っては、最初の内は「さん」付けで、
その内「ねぇ」とか「あのさ」になり、
子供が生まれてからはご多分に漏れず「ママ」呼ばわり。


最後に名前を呼ばれたなんて何年前?
と記憶にすら残っていないくらいだ(笑)



また、付き合っている相手の名前を呼び捨てで呼ぶのも、
トシが初めて。


そいう言うとトシは
T:「かすみの初めてのオトコになれて、光栄だよ。」
と。


最初の内は呼び捨てで呼ばれることも呼ぶことも、
なんだか面映く、トシの名前を呼ぶ度に
どことなくぎこちなかったっけ。


でも確かにトシが言うように呼び捨てで呼び合う度に、
グッと相手を身近に感じたのも事実。



そして一年近くが経った今でも、
私たちはお互いの名前を頻繁に口にする。


T:「おはよう、かすみ」


K:「トシ、おやすみなさい♪」


といった具合に、挨拶にはほぼ必ず名前を付ける。


でも何と言っても一番嬉しいのは、
抱き合いながらトシに名前を呼んでもらうとき。


T:「愛してるよ、かすみ」


そうトシに低い声で囁かれると、
自分の名前がまるで
この世で一番貴重なものになったかのような気がするのだった。

都合のいい女、都合のいい男

トシは今、2週間の予定で日本海側のとある県に出張中だ。


出張中は会えないけれど、密かなお楽しみがある。


それは夜、電話できること。



日頃は朝、トシが仕事に向かうときに
電話をくれることが多いのだけれど、
時間も限られているし、タイミングが合わないことも。


でも出張中なら、トシが宿泊先に戻った後、
時間を気にせずおしゃべりすることができる。


私の仕事は夕方から夜にかけてなので、
帰宅時に電話がかけられるから
タイミング的にもバッチリなのだ。



普段の電話で、私たちは本当におバカなことばかり話している。


ここに書いたら、確実に人格を疑われるだろう(笑)


そして二人でお腹が痛くなるほど笑っている。


昨日も
K:「もう、ダメ〜!笑い過ぎて、運転できないよ。」
と私が悲鳴を上げたほど。



K:「ね、私たちみたいな関係で、こんな明るくていいの?」


T:「不倫なのに、ってこと?」


K:「そう。
もっとさ、私たちこれからどうなるの?って
泣き崩れたりするべきかな、と。」


T:「これからどうなるの、って聞かれたら、
一緒にジイさんとバアさんになるんだろ?
って答えるよ。」


確かに、その通りだ(笑)



そういえば以前にもトシと
私たちの関係はなに?という会話をしたことがある。


K:「トシと私って、いわゆる不倫関係なんだよね?


でも私、全く罪悪感もなければ、悲壮感もないの。


変かな?」


T:「変じゃないよ。オレも同じ。


だいたいさ、不倫だの、セフレだの、都合のいい女だの、
色んな呼び方するのは外野なんだよ。


実際は、そのどれでもあり、どれでもない。


都合がいいって言えば、オレもかすみも家庭があって
その上で付き合っているんだから、
お互いにとって都合がいい関係だろう。


でもだとしたら、全く愛情がないのに、
金銭面や生活面での保障のためだけに
夫婦でいるのもまた、都合のいい関係じゃない?


結局、呼び方なんて、どうでもいいんだ。


オレたちが一緒にいるって
決めてることが大切なんだから。」


このトシの言葉に、心から納得した。



私にとってトシは、究極に都合のいい男。


そしてトシにとって私は、究極に都合のいい女。


不倫、婚外恋愛、セフレ、どんな風に呼ばれたっていい。


トシが私を求めてくれるのなら、
身体だろうが心だろうが喜んで差し出そう。


トシと私の絆が誰にも理解されなくても、
二人が一緒にいることを選択した、それが答えだから。



昨日の電話の〆の会話。


K:「日本海と言えば、不倫カップルの行き着く果て、
みたいなイメージだよね。」


(※日本海のお近くに住んでいらっしゃる方がいたら、
ごめんなさい!)


T:「もう二人には未来がない、いっそここで一緒に…、
みたいな?」


K:「そうそう!
でも私、死ぬ前に蟹食べたいなぁ、って言っちゃいそう。」


T:「で、蟹食って温泉入ったら、じゃ、帰るか、
ってことになるな(笑)」


ということで、どこまでも明るく楽しい
不倫バカップルな私たちなのだった。