かすみ草の恋

アラフィフの今、出逢ってしまった運命の人。
お互い家庭がありながらも、最後の恋人として大切に愛を育んでいます。

ことばにとける

私は性的なことにまつわる言葉を
口にすることが大の苦手だ。


まぁ、大得意!って人も少ないだろうけれど(笑)


例えば、「エッチ」という言葉ですら
口にするのも文字にするのも抵抗がある。


ましてや性器の名称(俗称)なんて、
目にしただけで
全身が恥ずかしさに震えるような
感覚さえ覚える。



トシは逆に、普段の会話の中でも
サラッと(?)こうした言葉を口にする。


行為のことを「エッチ」とは言わず、
「セックス」と言うところは、
昭和な男だな、と思うけれど(笑)



そしてベッドの中で、
トシはそんな私を言葉で責める。


熱いキスだけで息を荒げる私の下着を
ゆっくりとはぎ取りながら、


T:「ほら、自分で足を広げてごらん。」


K:「ヤ…。恥ずかしい…。」


T:「かすみがどうなってるか、オレに見せて…。」


トシの言葉に操られるように、
自ら足を開く私。


T:「指で開いて見せて。こうやって…。」


首を横に振って抵抗する私の指を
その部分に当てがうトシ。


T:「そう、いい子だ…。
キスしただけなのに、もうこんなになってる。」


K:「ヤだ…。言わないで…!」


一番恥ずかしい部分をトシに見られ、
羞恥心で全身が燃えるように熱くなる。


T:「オレに見られて、恥ずかしいの?
でも、もっと濡れてきてるよ?」


K:「そ、んなこと…!」


T:「かすみ、こっちを見て。」


涙で霞む目で言われるまま、
視線を向ける。


大きく突き出したトシの舌が、
今まさに私の熱く濡れた部分に
触れようとしていた。


K:「ヤ…だ…!」


T:「嫌なの?やめる?」


K:「う…。」


T:「して欲しいなら、ちゃんと見てて。」


トシの強いまなざしに射すくめられ、
視線も身体も動かせない。


トシの熱い舌を感じた瞬間、
恥ずかしさと快感の大波に襲われ
全身が大きく震えた。



K:「トシ、もう、お願い…!」


その舌で指で、
何度も何度も高みに押し上げられ、
息も絶え絶えになりながらトシを求める。


T:「どうして欲しいの?」


K:「トシ、が、欲しい…。」


T:「オレの何を、どこにどう欲しいか
ちゃんと言ってごらん。」


K:「ヤ…。言えない…。」


T:「言わなきゃ、しないよ。」


半べそ状態で身悶える私を見るトシの目は、
支配者のそれだ。


K:「トシの、これ…が、欲しいの…。」


言葉を使えない私は、
仕草で自分の欲求を伝えようと必死になる。


T:「これ、じゃわからない。
これをかすみのどこにどうしたらいい?」


K:「いっぱいに、して…ください…。
お願い…!」


T:「仕方ないな…。」


殆ど泣きながら懇願すると、
トシはようやく私の空洞を満たしてくれた。



T:「かすみはホントに恥ずかしがりだなぁ。」


熱いひとときが過ぎ去り、
火照った身体を鎮めながらトシが言う。


K:「だって…!


トシが恥ずかしいことばっかり、
言わせようとするからでしょ!」


T:「もし言えって言って、サラッと言われたら
それはそれで面白くないんだよな。


かすみみたいに恥ずかしがりつつ
喜んでいるのがわかると、
もっと虐めたくなる。」


K:「よ、喜んでなんていないもん!」


T:「そんなこと言っても、
身体の反応は真逆だよ?


ほら、こんな話してるだけで、もう…。」


そう言ってトシは、
私の身体に再び指を這わせた。



愛する人に言葉で縛られ、蕩かされる快感。


もっと、縛って…。


もっと、蕩かして…。


言葉にならない淫らな願いを
熱い吐息で伝えた。

プリンの科学

先週一週間、
毎日のように作り続けたものがある。


それは、プリン。


トシはプリンが大好物だということを
少し前に知り、
次のデートに持って行こう、
と張り切って試作していたのだ。



手作りプリンと言えば、
小さい頃、母がたまに作ってくれた。


が、素朴な手作りの味と言えばそうなのだが、
なんだか固くてボソボソして
すごく美味しい!と思った記憶はない。


以来、プリンはお店で買うもの、
と思い込んでいた。



でもトシに食べてもらうのなら、
お店のよりずっと美味しい!
と思ってもらえなくては意味がない。


事前にリサーチ(?)したところによると、
トシの好みは昔ながらの固めのプリンより、
トロッとしたなめらか系のプリンらしい。


そこで、「なめらか」「プリン」で検索してみた。



プリンの作り方は、大きく分けると、
蒸しプリン、蒸し焼きプリン、ゼラチンプリン
の3種類。


蒸し焼きプリンは昔ながらの製法なので、
固めのプリンに向いているようだ。


実家の母が作ってくれていたのも、
恐らく蒸し焼きだったのだろう。


なめらかなプリンを作りたい場合は、
蒸しプリンかゼラチンプリンがよさそうだ
ということがわかった。



プリンの材料は至ってシンプルで、
基本は卵と牛乳、そして砂糖。


ところが、
卵を卵黄だけにするか、全卵を使うか、
牛乳に生クリームを混ぜるか、など、
配合の違いによって星の数ほどレシピが存在する。


濃厚でトロッとしたプリンのイメージからすると、
生クリームを入れる方がコクが出そうだ。


卵は、卵黄の方が濃厚になりそうだが、
もしかすると全卵の方が
プルンとした食感になるかもしれない。



そこで、次の4種類のプリンを作ってみることに。


・全卵の蒸しプリン
・全卵のゼラチンプリン
・卵黄のみの蒸しプリン
・卵黄のみのゼラチンプリン


この4つに対し、牛乳と生クリームの割合、
ゼラチンの配合、蒸し時間などを変え
試作を繰り返した。


さらには練乳を加えるレシピもあったので
それも試すことに。


気分はすっかり、科学の実験だ(笑)



そしてそれぞれに対し現時点でベスト、
と思われるものをデート当日持参することに。


まずは配合や作り方など説明せず、
カップにA、B、C、Dと印をつけて
どれが一番好みか、トシに食べ比べてもらった。


T:「どれも美味しいから、迷うなぁ…。」


A〜Dまで、ひと匙ずつ食べては
真剣に考えるトシ。


T:「うん、一番好みなのは、Cかな。
トロトロとなめらかで、卵の味もしっかりしてる。」


トシが選んだCは、
「卵黄のみの蒸しプリン」だった。



その後、材料や製法について、種明かし。


K:「プリン、自分で作るの初めてだったから、
上手くできるか心配だったの。」


T:「ケーキ屋で買うのより、ずっと美味しかったよ!」


無事、お店より美味しい頂きました〜(笑)!



T:「オレのためにここまでしてくれるなんて、
感激だなぁ。」


K:「だって、どうせ食べてもらうなら、
美味しい方がいいじゃない?


それに、材料や配合で色々変わることがわかって
実験みたいで面白かった♪」


T:「そうやって何でも楽しめるかすみは
とっても素敵だと思う。


本当にこんないい女、他にはいないよ。」


トシはそう言って、
何度も優しくキスしてくれた。



それは、プリンの味のする
甘い甘いキス。


私はプリンそのものより、
この甘いキスの方がずっといい…。


と心の中でつぶやいた。

愛に於ける相対性理論の実証

昨日はトシとデートだった。


先週から今週にかけて
私の仕事が休みだったため、
どこか空いている日があれば、
とお伺いを立ててみたところ、


T:「火曜日は夜勤の開始がいつもより遅いから、
その日ならゆっくりできるよ。」
と、嬉しい返事が。


お昼ちょうどに待ち合わせして、
夜9時近くまで9時間、
一緒に過ごすことができた。



いつも遅刻気味の私だが、
今回は頑張って早めに家を出発。


待ち合わせの駐車場に10分前に着くと、
既にトシの車が。


K:「今日こそは、私の方が先だと思ったのに!」


T:「こんなところで
かすみをひとりで待たせておくなんて、
申し訳ないだろ?」



10分前でも既に来ていた、ということは
私が5分10分遅刻する時は、
30分近く待たせていることになる。


それこそ申し訳なくて、
K:「今度からは、私も早めに来るから」
と言うと、


T:「いいよ、ムリしなくて。


遅刻しないように、
って車飛ばして事故に遭ったら
その方が心配だから。


かすみはかすみのペースで
ゆっくり来てくれればいいよ。」

と、どこまでも優しいトシ。



トシの車に乗り込んで、
二人きりになれる場所へ。


トシとの逢瀬では、
お出かけしたり食事したりもするが
3回に1回はお篭もりデート。


いや、4回に3回かも…(笑)


出かけたり食事をしたりも楽しいけれど、
やっぱりお互いの肌の温もりを感じるのが
一番幸せだ。



お篭もりデートのときは
たいてい私が食事を用意して行く。


今回は軽めのお昼兼おつまみ用に
肉まん、野菜のマリネ、うずらの卵のしょうゆ漬け。


そして夕食用に
水餃子、エビチリ、大根とハムの中華サラダ、
キュウリのピリ辛漬け、バンバンジー。


デザートは、りんごとプリン。



ちなみに、肉まんと水餃子は皮から手作り。


以前、台湾人の知人に教えてもらった
本場のレシピだ。


少し手間だけど作り方は簡単だし、
何より市販のものより格段に美味しい。


特に肉まんは、井○屋は軽く越えているし、
横浜中華街の有名店にも
ひけはとらないのでは、と自負している。


トシも
T:「こんなウマい肉まん、初めて食べた!」
とたくさん食べてくれた。



ビールでほろ酔いになり、
ちょっと大胆にトシの膝の上に乗って
首筋にキス。


T:「お、今日はかすみから責めてくれるんだね」
と言いつつ、
トシの手もすぐに私の全身を這い回る。


服の上から撫ぜられているだけなのに
もう息が上がってしまう。



お互いの名前を呼び、
指を、足を、全身を絡ませ合う。


何度も高みに押し上げられ、
息も絶え絶えにベッドに沈み込んだ後は
ピッタリと寄り添ったまま
深い眠りに引きずり込まれる。


そしてどちらからか目を覚ますと、
またキスをして、求め合って。


そんなことを繰り返していたら
あっという間に夜になってしまっていた。



K:「トシといると、なんでこんなに
時間が経つのが早いんだろう?


アインシュタインだったっけ、
無重力状態だと時間が経つのが早い、
って定義したの。


トシと重なってると、
宇宙空間に漂っているみたいだから、
かなぁ?」


T:「宇宙空間、って、
どんな感じだよ(笑)?


かすみが言ってるのは
一般相対理論だね。


それを言うなら、特殊相対性理論だと
動いている状態の方が
時間が過ぎるのはゆっくりなんだよ。


だからもっともっと激しく運動したら、
時間が長く感じるかもよ?」


K:「トシとの時間がゆっくりになるのは嬉しいけど、
これ以上激しくされたら、
命そのものが縮まるような気がする…。」


T:「ホント、かすみは楽しい人だね(笑)」


そう言うと、トシは大笑いしながら
私の身体をギュッと抱きしめてくれた。



アインシュタインにぜひ
愛する人と一緒にいる間は
なぜ時間経つのが早いのか、
尋ねてみたいものだ。


そして未来の科学者には
愛する人と過ごす時間が長くなる装置を
開発してもらいたい。