かすみ草の恋

アラフィフの今、出逢ってしまった運命の人。
お互い家庭がありながらも、最後の恋人として大切に愛を育んでいます。

私の中の色々なワタシ

もう20年以上前になるが、
『24人のビリー・ミリガン』という本が
ベストセラーになった。


ストーリーは、1977年、
アメリカのオハイオ州で実際に起きた
連続強姦事件に基づいて書かれている。


容疑者として逮捕された青年には
犯行当時の記憶が全くなかった。


それというのも、彼の内部には
24人の全く別の人格が存在していたから。


つまり彼は、多重人格者だったのだ。



この本の主人公ビリー・ミリガンのように
病的な多重人格者でなくても、
誰しも自分の中に
いくつかの「ワタシ」を持っているのだと思う。


仕事のときの「ワタシ」
家族と接しているときの「ワタシ」
友人と過ごしているときの「ワタシ」


そして、
大好きな彼といっしょにいるときの「ワタシ」


基本的な性格は変わらなくても、
接する相手やおかれている場所、状況によって
色々な「ワタシ」が存在する。



仕事のときの「ワタシ」は、
人に物を教えるという立場であることもあり、
一番キチンとしている(はず)。


ブログを書いているときも
この仕事中の「ワタシ」要素が
前面に出ているかもしれない。


大切なことを見失わないように
ブログを通じて自分自身に
教えているようなものだから。



家庭での「ワタシ」は、かなり適当。


料理以外の家事は手抜きだし、
子供たちに対しては放任主義。


大雑把で適当で、でもいつも楽しそうにしている
お母さん、といったところだろうか。



友人に対しても、家族に接するのと
近い「ワタシ」だと思う。


人に接することが大好きで、
場を盛り上げることも得意。


「かすみといると、元気出るよ!」
と言ってもらえるのは、ありがたいことだ。



トシといっしょにいるときの「ワタシ」は、
一番穏やかで和やかで素直、かつ乙女。


トシの前では何も取り繕わず、
まるでひなたぼっこしているネコのように
ゴロゴロと喉を鳴らしていればいいからだろう。


乙女な部分は言わずもがな。



T:「オレ、本当にかすみの性格が好きだなぁ。」


この間のデートで、
ベッドでとりとめもなく話をしているときに
トシがしみじみと言った。


K:「どういうところが?」


T:「明るくて、素直で、穏やかで、
一緒にいるとすごく癒される。」


K:「それって、癒し系ってこと?」


T:「癒し系って言うと、
ただフワフワしてるってイメージでしょ?


かすみはそんな単純じゃない。


賢くて知的な会話もできれば、
まるで男友達と話しているように
気負いなくバカも言える。


サッパリして男前なところもあれば、
限りなく女性らしくもある。


そして何事にも前向きで、
色んなことを受け入れるおおらかさがあって。


たくさんの女性を見て来たけど、
かすみのような女は他にはいないよ。」



トシの言葉を聞いて、
面映いと同時にとても嬉しくなった。


なぜならトシが褒めてくれたのは、
こうでありたいと思っている
理想の「ワタシ」に最も近いから。



私の中にももちろん、
嫉妬したり、疑ったり、捻くれたり
といった、ネガティブな面はある。


でも、なぜかトシに対しては
そうしたマイナス感情を殆ど出すことがない。


無理して隠しているのではなく、
トシがそれだけ私に安心と安定を
もたらしてくれているからだと思う。



ネガティブな面が強調される相手と
ポジティブな面を引き出してくれる相手。


当然後者の方がいいということは
間違いないだろう。



一緒にいることで
自然に理想の自分に近づける。


こんな相手と巡り会えたことに
改めて感謝した。

全ての基準は「幸せ」にあり

私が物事をするかしないか、
あるいは続けるか続けないか、
を決める基準は1つだけ。


それが私にとって
「幸せ」かどうか。



例えば、人間関係。


何十年来の友人であったとしても、
宗教やネズミ講の勧誘をしてきた、とか、
借金の申し込みをされた、
などがあれば、すぐさま付き合いをやめる。


その関係は私にとって
「幸せ」ではないから。



仕事に関しては、「幸せ100%」
というのはなかなか難しいだろう。


どれだけ気が乗らないときでも
勤務時間は守らなくてはならないし、
仕事内容も自分の思う通りにいくばかりではない。


だが、仕事を通じて
「やりがい」だとか「収入」、
あるいは「自己肯定感」が得られる。


こうした「幸せ」の分量が
それ以外のマイナス要素を上回れば、
それは私にとって価値があることだ。



恋愛も、また同じ。


トシとの関係は、いわゆる婚外恋愛。


お互いが独身のように自由が効かない分、
我慢しなくてはならないことも多い。


でも、愛する人に愛される「幸せ」は
些細な不満など吹き飛ばすほど大きい。


だからこの関係は
私にとって大きな意味があるのだ。



そして得てして人間は、
「満足」より「不足」
「幸せ」より「不幸せ」
「ポジティブ」より「ネガティブ」
にフォーカスしがちである。


例えば自分の身近な人、
配偶者だとか子供、職場の人たちに対しても、
「いい面」より「悪い面」の方が
簡単に見つかるし数も多くなりがちだ。



大好きな彼に対しても、
同じことをしてしまう危険性は高い。


「○○してくれない」=「足りない部分」
「彼は家庭が第一」=「不幸せな環境」
「本当に好きでいてくれるか不安」
=「ネガティブな感情」


ただ単にいつものクセで、
こうしたマイナス面に
フォーカスしてしまっているのなら
とても勿体ないことだと思う。


なぜなら、ちゃんとそこに存在する
「幸せ」に気が付けなくなってしまうから。



トシと私は、ことある毎に「幸せ」を口にする。


T:「かすみとこうやってマッタリしているときが
一番幸せだなぁ。」


K:「トシの声を聞くだけで、すごく幸せ♪」


T:(ご飯を食べた後ごろんと横になって)
「あ〜、幸せだ〜!」


K:「出会えて良かった!本当に幸せだよ。」



「あなたの存在が私の幸せ」


お互いが心からそう思えていれば、
その関係は永遠に続くに違いない。

キラキラ光る思い出の欠片たち

今回は先日のデートでの
ちょっとしたエピソードを
記録のために書き留めておこう。



<ビールの種類>


二人きりになれる場所に向かう途中、
ビールを買いにコンビにに立ち寄った。


今回はビールだけだったので、
私は車でお留守番。


いつもは二人ともが好きな
アサヒのスーパードライなのだが、
今回はキリンが1缶混じっていた。



K:「あれ、珍しいね!」


T:「この間電話で、かすみが
お父上はキリンがお好きで、
初めて飲んだビールはキリンだった、
って話してたのを思い出したから。」



話した私自身忘れていたような、
そんな小さなエピソードを
覚えていてくれたんだ…。


久しぶりに飲んだキリンビール、
父とトシ、二人の男性の愛が感じられて
とっても美味しかった。



<味の好み>


お昼兼ビールのおつまみとして持って行った
手作り肉まん。


T:「九州では、肉まんを酢醤油で食べるんだ。
オレはさらに芥子も付けるのが好き。」
(トシは九州出身。)


K:「お酢もお醤油も、芥子も持って来たよ。」


T:「さすが、かすみ!」



私は酢醤油で肉まんを食べるのは初めてだったが、
さっぱりしていて美味しかった。


好きな人の好みの味を知っただけで、
さらに内側に近づけたような
幸福感に満たされるから、不思議。



<素敵な人>


T:「今日も、素敵だね。
特にこのジャケットが、カッコいい!」


毎回トシの車に乗り込むとすぐ、
こんな風に私の服装を褒めてくれる。


デートにはたいていトシの好きな
タイトスカートかワンピースを着て行くことが多い。


この日のコーディネイトは、
サテン生地のベージュのタイトスカートに、
ボートネックの薄手の黒いセーター、
そしてライダーズ風の黒いジャケット。



T:「かすみは身長が高いし
スタイルもいいから、何着ても似合うね。」


K:「え〜、そんなに褒められたら、
照れちゃうよ…。」


T:「ホントだよ。


駐車場でその日最初に会う時、
車から出て来るかすみを見て、
毎回、なんて素敵な人なんだろう、
と思ってる。」



私は決して美人でも可愛くもないけれど、
トシの目に少しでもキレイに見えているのなら
こんな嬉しいことはない。


何年経ってもトシに「素敵だ」と褒めてもらえるよう、
女磨きし続けなくては!



<どんな顔も好き>


何度もトシに翻弄され、
精根尽き果ててベッドに沈み込んでいた時。


T:「かすみ、化粧も落ちて、髪の毛もぼさぼさで、
すごい顔になってる。」


K:「ヤダ…。見ないでよ〜。」


行きの車の中で褒めてくれたのは何だったの?!
と言いたくなる。


トシは褒めることもするけれど、
ヘンなところもきちんと(?)口にする人なのだ。



T:「だけど、あんな颯爽とした人が
オレの手で乱れて、
こんな風に無防備な姿をさらしてる、
っていうのがまた男にしたら堪らないんだよ。」


K:「ヘンな顔してたら、幻滅しない?」


T:「むしろ、かすみのこんな顔を知ってるのは
オレだけだ、って優越感がある。


どんな顔のかすみも、大好きだよ。」



マスカラが落ちてパンダ目で、
口紅の落ちた口は半開きで、
シーツのシワが顔に残り、
髪の毛がバクハツしている状態でも
「愛してる」
なんて言ってくれる人は、
トシ以外に誰もいないよ(笑)



ともすれば、記憶の中に埋もれてしまいがちな
小さなエピソードたち。


私の思い出の片隅でいつまでもキラキラと
輝き続けていて欲しい。