かすみ草の恋

アラフィフの今、出逢ってしまった運命の人。
お互い家庭がありながらも、最後の恋人として大切に愛を育んでいます。

プリンの科学

先週一週間、
毎日のように作り続けたものがある。


それは、プリン。


トシはプリンが大好物だということを
少し前に知り、
次のデートに持って行こう、
と張り切って試作していたのだ。



手作りプリンと言えば、
小さい頃、母がたまに作ってくれた。


が、素朴な手作りの味と言えばそうなのだが、
なんだか固くてボソボソして
すごく美味しい!と思った記憶はない。


以来、プリンはお店で買うもの、
と思い込んでいた。



でもトシに食べてもらうのなら、
お店のよりずっと美味しい!
と思ってもらえなくては意味がない。


事前にリサーチ(?)したところによると、
トシの好みは昔ながらの固めのプリンより、
トロッとしたなめらか系のプリンらしい。


そこで、「なめらか」「プリン」で検索してみた。



プリンの作り方は、大きく分けると、
蒸しプリン、蒸し焼きプリン、ゼラチンプリン
の3種類。


蒸し焼きプリンは昔ながらの製法なので、
固めのプリンに向いているようだ。


実家の母が作ってくれていたのも、
恐らく蒸し焼きだったのだろう。


なめらかなプリンを作りたい場合は、
蒸しプリンかゼラチンプリンがよさそうだ
ということがわかった。



プリンの材料は至ってシンプルで、
基本は卵と牛乳、そして砂糖。


ところが、
卵を卵黄だけにするか、全卵を使うか、
牛乳に生クリームを混ぜるか、など、
配合の違いによって星の数ほどレシピが存在する。


濃厚でトロッとしたプリンのイメージからすると、
生クリームを入れる方がコクが出そうだ。


卵は、卵黄の方が濃厚になりそうだが、
もしかすると全卵の方が
プルンとした食感になるかもしれない。



そこで、次の4種類のプリンを作ってみることに。


・全卵の蒸しプリン
・全卵のゼラチンプリン
・卵黄のみの蒸しプリン
・卵黄のみのゼラチンプリン


この4つに対し、牛乳と生クリームの割合、
ゼラチンの配合、蒸し時間などを変え
試作を繰り返した。


さらには練乳を加えるレシピもあったので
それも試すことに。


気分はすっかり、科学の実験だ(笑)



そしてそれぞれに対し現時点でベスト、
と思われるものをデート当日持参することに。


まずは配合や作り方など説明せず、
カップにA、B、C、Dと印をつけて
どれが一番好みか、トシに食べ比べてもらった。


T:「どれも美味しいから、迷うなぁ…。」


A〜Dまで、ひと匙ずつ食べては
真剣に考えるトシ。


T:「うん、一番好みなのは、Cかな。
トロトロとなめらかで、卵の味もしっかりしてる。」


トシが選んだCは、
「卵黄のみの蒸しプリン」だった。



その後、材料や製法について、種明かし。


K:「プリン、自分で作るの初めてだったから、
上手くできるか心配だったの。」


T:「ケーキ屋で買うのより、ずっと美味しかったよ!」


無事、お店より美味しい頂きました〜(笑)!



T:「オレのためにここまでしてくれるなんて、
感激だなぁ。」


K:「だって、どうせ食べてもらうなら、
美味しい方がいいじゃない?


それに、材料や配合で色々変わることがわかって
実験みたいで面白かった♪」


T:「そうやって何でも楽しめるかすみは
とっても素敵だと思う。


本当にこんないい女、他にはいないよ。」


トシはそう言って、
何度も優しくキスしてくれた。



それは、プリンの味のする
甘い甘いキス。


私はプリンそのものより、
この甘いキスの方がずっといい…。


と心の中でつぶやいた。