かすみ草の恋

アラフィフの今、出逢ってしまった運命の人。
お互い家庭がありながらも、最後の恋人として大切に愛を育んでいます。

細胞を共有する幸せ

トシとのお部屋デートでは、
いわゆるラブホテルの休憩2時間で出たためしはなく、
最低でも4、5時間、長いときは8時間くらい滞在する。


当然その間にお昼ご飯か夜ご飯の時間になるので、
私が食事を作って持って行くことが多い。



最初の頃は、途中のコンビニで調達したり、
ホテルで食事をオーダーしたりしていた。


が、コンビニやホテルの食事も飽きてくる。


トシにお弁当を作って行こうか?
と提案してみると、

T:「かすみは家を出て来るのに色々準備がいるだろうから、
お弁当まで作っていたら大変じゃない?」


全然大変じゃないよ!と言うと、

T:「もし大変じゃないのなら、
作ってくれるのはすごく嬉しい。」


ということで、張り切って食事を持参することに。



私は家事の中で、料理だけは唯一好きで、
得意と言ってもいいと思う。


家に人を招いてホームパーティーをすることも多く、
大抵は「美味しい!」と褒めてもらえる。


本格的に料理を勉強したことはないけれど、
母が私を上回る料理好きで料理上手だったので、
その影響も大きいかもしれない。



一方、トシも実は料理男子。


奥様は料理が苦手というわけではないようだが、
子供が生まれてから子供寄りのメニューが増え、
しかも単品、というのがトシには気に入らなかったらしい。


そこで文句を言う代わりに、
T:「自分の食事は自分で用意するから。」
と言うところがトシらしいと思う。



なので、仕事で超多忙でない限り、
トシは自分の夕食は自分で作って食べているようだ。


メニューを尋ねると、
ポトフ、酢豚、豚の角煮、餃子、各種パスタなどなど、
主婦顔負けの品々。


それもそのはず、トシは若い頃
バーテンの仕事をしていたことがあり、
そこでお通しや簡単な食事を作っていたんだそう。



全く料理をしない人に食べさせるのなら
まだごまかしが効くけれど、
ここまで作れる人相手だと、かなり緊張する。


最初に作って持って行ったお弁当は、

T:「唐揚げとか卵焼きとか、定番のお弁当メニューがいい」

というトシのリクエストで、
唐揚げ、卵焼き、インゲンのごま和えなどだった。


何てことないごく普通の家庭料理だったけれど、

T:「味付けがオレ好み。すごく美味しいよ!」

と褒めてもらえて、とても嬉しかったことを覚えている。



ただ、お弁当箱に詰める形式だと
冷たいままなのが残念なところ。


そこで、タッパにおかずやご飯を詰めて、
ホテルにあるレンジで温めるように。


温めが可能であれば、シチューや煮込み料理など
レパートリーも広がる。


さらにタッパーから直に食べるのは味気ない、と、
木のトレーとお皿、お茶碗、お箸なども購入。


夫婦茶碗と夫婦箸をトシと一緒に買いに行ったときは、
新婚夫婦気分を味わえて、とっても嬉しかった。



ということで、先日のデートに持参したメニュー。


・鶏手羽のコチュジャン煮
・ヤムウンセン(タイの春雨サラダ)
・サーモンとキャベツのマリネ
・セロリとイカのハーブソテー
・インゲンのピーナツ和え
・クリームチーズの生ハム巻き


プラス、デザートはリンゴとトシの大好物のプリン。


トシは辛いものも甘いものも両方好きだし、
好き嫌いもないので、作り甲斐がある。



T:「かすみが作ってくれる料理はどれも
オレが普段作らないようなものばかりだし、


何より味付けがオレの好みにピッタリで、
すごく美味しいよ。」


と、いつも私の料理を手放しで褒めてくれる。


T:「かすみの作ってくれた料理を食べながら
こうしてのんびりしている時間が
オレにとっては一番落ち着くし、幸せだなぁ。」



食べた物が消化され排出されるまでにかかる時間は、
およそ24〜48時間と言われている。


つまり、一緒にご飯を食べてから丸1日〜2日は、
私が作ったものがトシの体内にあるということ。


そしてさらにその食べ物が
トシの細胞の一片となるのだ。



好きな人に手料理を食べてもらいたい、
という女心。


胃袋を掴みたい、というだけでなく、
自分が作ったものが好きな人の血となり肉となる、
それが嬉しいから、だと思う。