ひとりでもじゅうぶん幸せ、でも彼がいたらもっと幸せ
トシと出会ったのは、去年の9月の終わり頃。
付き合い始めの頃は、
脳内の100%、いや120%をトシが占めていて、
オーバーフロー気味だった。
何をしていてもトシのことが頭から離れず、
家事も仕事も趣味も友人との交流も、どこか上の空。
そんなときにトシにこう言われた。
T:「かすみは家事や仕事や自分の好きなことして、
その隙間にオレのことを考えてくれたらいいから。」
隙間に考えるだなんて、ムリ!
だって、こんなにトシが好きという気持ちで、
頭がいっぱいになっているのに…。
トシの言葉を聞いて、切なくなってしまった。
T:「相手のことを好き、
だから四六時中その人のことしか考えられない、
というのは間違っていると思う。
かすみにもオレにも、仕事や家庭への責任や
大切な友人関係があって、
それをないがしろにしたらダメだろう。」
K:「でも、自然にトシのこと、考えちゃうんだもん。」
T:「それは嬉しいよ。
でも、相手がいなきゃ何も始まらないなんて思うのは
単に依存し合っているだけだ。
オレはかすみと依存し合うのではなく、
お互い自分の足でしっかり立った上で、
支え合ったり愛し合ったりする関係になりたいんだよ。」
そう説明されて、
頭では納得できても感情はついていけない。
だが落ち着いて
トシと出会う前の自分を振り返ると、
趣味に仕事に友人たちとの交流にと、
それなりに毎日が充実していた。
その全てを足してもトシとの時間の方が
ずっとずっと貴重なことは明らか。
でも、仕事や趣味や家庭や友人たちも
私を構成する大切な要素であることは間違いない。
元々私が持っていたこうした要素を手放してしまったら、
それは私が私ではなくなる、ということ。
今までの自分が作り上げて来た生活を
丁寧に大切に過ごす。
そしてそこに心から愛する人が加わることで、
さらに日々の輝きが増す。
そんな付き合いをしたい、とトシは言いたいのだろう。
K:「あのね、私、
ひとりでもじゅうぶん幸せだったし、
今でも幸せでいられる自信ある。
でも、トシがいてくれたら、もっともっと幸せなの。
これって、幸せが増えたってことだよね!」
T:「そう、それが正解。
お互いの幸せを削るんじゃなくて、
増やしていこう。」
ひとりでもじゅうぶん幸せ。
でも、愛する人がいたら、もっと幸せ。
これが究極の恋愛なんだと思う。
ということで、トシが出張中のこの2週間、
友人とのランチに趣味のお出かけ、
映画にショッピングに本屋さん巡りにと、
めいっぱい予定を詰め込んだ。
お一人様を満喫することで「私」を充実させて、
次回最高の笑顔でトシと会うために。
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