かすみ草の恋

アラフィフの今、出逢ってしまった運命の人。
お互い家庭がありながらも、最後の恋人として大切に愛を育んでいます。

重なる身体と心

デートの翌日は、「昨日の今頃は…」

と一日前の行動を振り返り、思いにふける。


そしてできることなら、

時計の針を1日前に戻したい、と願うのだ。



いつもは車で待ち合わせすることが多いのだけれど、

昨日は諸事情あって私は電車で出かけることにした。


駅で拾ってもらうのは、今回が初めて。


そんな小さな「初めて」にも、心がときめく。



駅のロータリーに降りると、

少し先に見慣れたトシの車が。


小走りで近づき、助手席のドアを開けて

「おはよう!」

と笑顔で挨拶。


トシも満面の笑顔で「おはよう!」と答えてくれる。



途中のコンビニに立ち寄り、

ビールとちょっとつまめるものを調達。


待ち合わせた場所はトシの家からそれほど離れていないから

知り合いに会う可能性もゼロではない。


なのにしっかりと手を繋いでくれるトシ。


店内に入ってからも、

時折腰を抱いたり、頭を撫ぜたり。


朝9時過ぎからビールとおつまみを買って

コンビニでイチャイチャしているアラフィフ男女。


誰がどう見ても不倫カップル間違いなしだ(笑)



そしてトシの車は、真っすぐにいつもの二人になれる場所へと向かった。


お部屋に入って、まずはビールで乾杯。


K「朝から飲むビールって、

どうしてこんなに美味しいんだろうね?」

T「いけないことしてる、って背徳感があるからかも?」

K「私たち、いけないことしてるの?」

T「世間的にはいけないことでも、

オレたちにとっては正しいことだよね。」


とりとめもない会話をしつつ、ロング缶を2本空ける頃には

私はすっかりほろ酔い気分に。



T「こっちにおいで」

トシが広げた両手の間に、迷うことなく飛び込む。


ギュッと抱きしめられて、抱きしめ返して。


暑いキスの嵐と、優しく私の身体を辿るトシの手が、

ビールよりも深く私を酔わす。



いつの間にかベッドの上に移動した二人の間には

もう遮る物は何もない。


まるで一つの身体でいられないことがもどかしいように、

肌と肌をぴったりとくっつけて。


トシの舌が、指が、そして熱い眼差しが

すぐに私を頂点へと連れ去る。


何度も何度も高みに押し上げられ、

うわごとのようにトシの名を呼ぶ。



「愛してるよ」

トシと一つになったとき、耳元に囁かれた熱い言葉。


その瞬間、二人の身体と心が隙間なく重なったのがわかった。