かすみ草の恋

アラフィフの今、出逢ってしまった運命の人。
お互い家庭がありながらも、最後の恋人として大切に愛を育んでいます。

やらかした…!

一昨日は、学生時代の友達3人で忘年会だった。


私を入れたこの3人、
仲間内でも飲んべえとして知られている。


さらに、お酒が回る程に話が深まり、
なんと奇しくもこの3人全員
婚外恋愛経験者or現役だということがわかった。


3人というこじんまりした集まりだったからこそ、
本音トークが炸裂し、
同級生の気の置けなさで突っ込みまくる。



最初のおでん屋でビール大瓶3本に熱燗3本、
場所をイングリッシュパブに移して
さらにスパークリングワインを2本。


気が付いたら終電間際になっていた。


ふらつく足で駅までダッシュし
何とかギリギリ間に合ったが、
この時間の電車は私の最寄り駅までは行かない。


駅で言うと6つほど、距離で言うと20kmほど離れた
隣の市までの最終だったのだ。



今さらどうしようもないので、
とにかく終点まで行き、そこからタクシーに乗ることに。


電車に乗ってこの夜初めてLINEをチェックすると、
トシから1時間程前に
「もうお開きになった?」というメッセージが入っていた。


以前私がかなり酔って
帰りの電車の中から意味不明のLINEを送ったことがあり、
以来トシは私が飲み会のときは家に帰ったかどうか
非常に心配になるらしい。



K:「えっと、実は時間忘れて飲んでて
今終電に飛び乗ったところ…」


T:「この時間の終電なら
かすみの家の近くの駅までは行かないんじゃない?」


K:「そうなの
仕方ないから○○駅からタクシーに乗るよ」


T:「大丈夫?駅に着いたらまたLINEして」



10分後。


K:「○○駅着いた〜
タクシーの列に並んだよ」


T:「タクシー、大分待ちそう?」


K:「うん、10人ちょっとかなぁ
歩いて帰ったらどれくらいかかるかな?!」


私としては冗談のつもりだったのだが、
このメッセージを入れた直後、トシから電話が。



T:「歩くなんて、絶対ダメだ。
ちゃんとタクシー待っときなさい。」


K:「冗談だよ〜。
歩いたら朝までかかっちゃうし〜。
途中で寝ちゃうかもしれないし〜。」


T:「…かなり酔ってるな。」


K:「う〜ん、大丈夫。
意識はあるよ〜(笑)」


T:「とにかく、気をつけて。」



トシからの電話を切った直後、
前に並んでいた男性が話しかけてきた。


男性「すみません、どこまで行かれます?」


K:「あ、△△市です。」


男性「僕もそっち方面なんで、
よかったら途中まで乗って行きますか?」


ひとつ順番が早くなるし、
タクシー代だって割り勘にしたら助かるし
お得な話だと思ってOKした。



LINEでその経緯をトシに報告。


K:「なんかね
前に並んでる人が
同じ方面だから途中まで乗っていきませんか
って。
ラッキー♪」


T:「男?女?」


K:「男の人」


T:「何歳くらい?」


K:「50代後半?
60代?かな」


T:「それはよくない
やめときなさい」


K:「え?なんで?」


T:「いいから、とにかく断って」



理由はわからないが、
トシが怒っている様子はLINEからも伝わって来る。


ちょうど次が前の人の順番だったので、
「あ、ごめんなさい、やっぱりいいです」
としどろもどろで断った。


T:「断れた?」


K:「うん、断った」


T:「よかった
タクシー乗ったら連絡して」



程なくして私の番になり、
タクシーに乗り込む。


K:「タクシー乗ったよ」


するとすぐさま電話の着信。


T:「あのさ、かすみ、無防備すぎるよ。」


K:「え?」


T:「相手、男だろ?
一緒にタクシーなんかに乗って、
何かあったらどうするの?」


K:「なにか、って…。」


T:「もう遅いから
そのままどこかに連れ込まれることは
ないかもしれないけど、
連絡先聞かれるとか、あるかもしれないだろ?


かすみは乗せてもらっているって引け目があるから
断りきれなくない?


それに、先に降ろしてもらうなら家もバレるし、
その後ストーカーされることだってあるかもしれない。」



私はただ単に親切な人だなぁ、
という認識しかなかった。


ましてやこんないい年したオバサンが
そういう対象として見られるなんて
微塵も考えていなかった。



T:「かすみは自分をわかっていなさ過ぎる。


誰にも魅力的に思われないようなオバサンに
オレが惚れると思う?」


そんなトシの言葉を聞いて、
お説教されているのに、
ちょっぴり嬉しくなってしまう。


T:「かすみは今まで
世の中の悪い部分を見ないで済むような
環境にいたからこそ、
そんなに人を信じられるんだろうな。


そこがかすみのいいところでもあるんだけど、
世の中にはかすみが想像もしないような
悪いことを考えている人もたくさんいる。


特に男に対しては、無防備になっちゃダメだよ。


全員何らかの下心がある、くらいに思っといて。」



トシはこの日も夜勤で作業中。


そんな中、私を心配してLINEや電話をするために
仕事の手を休めさせたことが何より申し訳なかった。


K:「心配させて、ごめんなさい…。
これからちゃんと気をつける。」


T:「そういうかすみの素直なところ、好きだよ。


オレだってどうでもいい相手なら放っておく。


かすみはオレにとってすごく大切な人だから、
心配もするし、いろいろ注意もするんだよ。」



結局、家に着くまで30分近く、
酔っている私が寝てしまわないよう、
電話に付き合ってくれたトシ。


貴重な仕事の時間を削ってまで、
私の心配をしてくれたことに
また一段とトシの愛の大きさを感じた。


T:「そんなに酔っぱらいたきゃ、
オレの前だけにしときなさい」


K:「はい...。そうします。」


お説教も命令口調も、
トシにされると全部愛の言葉に思える。



『酒は飲んでも呑まれるな』


翌朝トシから届いたLINEのメッセージ、
飲み会の度に見直すことにしよう…。