かすみ草の恋

アラフィフの今、出逢ってしまった運命の人。
お互い家庭がありながらも、最後の恋人として大切に愛を育んでいます。

「強さ」の違い

先週のデートで、ベッドでまったりしているときに
いつものごとくトシと色々な話をした。


肌に触れ合って深く繋がった後だからこそ、
日頃はできないちょっと突っ込んだ話もできる。


お互いの顔を見て、
時間を気にせず話をできるこのひとときが
私は大好き。



冗談みたいな話をして大笑いした後で
トシがしみじみ言った。


T:「オレ、本当にかすみの性格が好きだなぁ。」


K:「ありがとう♪どんなところ?」


T:「明るくて、前向きで、
細かいことにこだわらない、おおらかなところ。


心も身体も丈夫で、強い人だなぁ、と思う。」


K:「強いって!
女性に対する褒め言葉じゃないよ〜(笑)」


T:「だよね(笑)


でもオレが言いたいのは、
がっしりしてるって意味の強い、じゃないよ。


しなやかな強さ、って言ったらいいかな。」



このトシの言葉を聞いて、とても嬉しかった。


なぜなら、しなやかでありたい、
というのは私の理想のひとつだから。



K:「トシも強い人だよ。


私が今まで知り合った中で、ダントツに一番。」


T:「ありがとう。


でも、もしオレが強いとしたら、
それは色々とぶつかって傷付いて、


こんなことには負けないぞ!
と傷を乗り越えることで身につけた強さだと思う。」



確かにトシの話を聞いていると、
まるで小説かドラマのように
波瀾万丈な半生だったようだ。


普通だったらそこで折れてるでしょ!
と思えるような出来事も
踏ん張って乗り越えてきたからこそ、
トシは誰よりも強く、
誰よりも優しいんだと思う。



T:「かすみは、
草花が生き生きと咲いている野原の真ん中で
お日様の光をいっぱい浴びて
スクスク育った真っすぐな木、ってイメージ。


恵まれた環境で周りに愛されて育ったからこそ、
こんなに素直で明るくて真っすぐなんだよね。


だからかすみの側にいるだけで、癒される。


そしてその明るさと真っすぐさを翳らせないように
オレももっとたくさん愛そう、と思うよ。」



こんなに私のことを理解し、認め、
愛してくれた人は
父と祖父を除いては他にはいない。


私の明るさと強さがトシの癒しとなるのなら、
もっともっと明るく強くなりたいと思う。



T:「かすみに出会えて、本当に良かった。


間違いなく、オレの人生で最高の出来事だよ。」


K:「私も…。」


トシと出会えて、良かった。


トシのいない人生なんて、もう考えられない。


感激のあまりその先は言葉にならず、
ただギュッとトシの身体に抱きついた。

ここではない、どこかへ

トシと付き合い始めるまで、
私はいわゆる「女の喜び」を知らなかった。


ちなみに男性経験は片手では少し足りない程度なので、
多くも少なくもない方だろう。



それまでも気持ち良さは感じていたし、
行為自体は、嫌いではなかった。


好きな相手と肌を触れ合わせたり、
女として求められることで得られる精神的快感は
他では得難いものだから。


が、いわゆる「絶頂感」というものは体感したことがなく、
都市伝説(!?)みたいなものかもしれない、
と思っていた。



夫と私は、下の子が生まれてから夫婦生活が激減し、
ここ5年くらいは全くレス状態。


夫との仲は悪い訳ではないが、
もう完全に家族になってしまっているので
お互い欲求の対象にはならないのだと思う。


このまま一生男性と身体を重ねることはないのかもしれないなぁ、
と漠然と思っていたが、
それでも全く平気だった。



それがトシと付き合い始めて、180度変わってしまう。


初めて身体を重ねたときから、
月並みな言い方だが、身体中に電気が走るような
軽いショックを感じるほどの快感に襲われた。


K:「こんなの…、こんなの、知らない…。コワい…!」


行為の間、うわごとのように
こう口にしていたことを覚えている。



そんな私の身体を、トシはいつも
まるで壊れ物を扱うかのように
優しく丁寧に解いていく。


触れるか触れないかの絶妙な指使いで
頭の先から足の先まで。


同じ箇所に、甘いキスが降り注ぐ。


もうそれだけで、私の胎内から
熱い液体が溢れそうになる。



正確に測ったことはないが、
トシは前戯に恐らく1時間以上かけていると思う。


その指で唇で全身を蕩かされ、
何度も何度も高みに押し上げられて…。


絶頂と絶頂の境目すらわからなくなる頃には
シーツは私の汗と胎内から迸った液体で
びしょ濡れになっている。



そしてようやくトシ自身が
私の内に入って来てくれるその瞬間。


いつでも一番最初にトシに触れられたときの
身体中に電気が走るような感覚が蘇る。


それは痛みすら伴うくらいの、強烈な快感。


トシの逞しい楔に身体を刺貫かれた私は、
ただ身悶えるしか術はない。



これまた正確にはわからないが、
多分繋がっている時間も1時間は越えているだろう。


上になり、下になり、横になり、
まるで二体の蛇のように、絡まり合って。


喘ぎ過ぎて声が枯れてしまった私に
何度も口移しでお水を飲ませてくれるトシ。


その間も、私の胎内がトシを離すまいと
締め付けているのが自分でもわかる。



毎回毎回深まる快感に、恐怖すら覚えて
トシの身体にしがみつく。


K:「おかしくなっちゃう…!」


T:「いいよ、オレの手で、
もっとおかしくなって…。」


そう言ってトシが一層深く私の内部を突き上げたとき、
真空の世界に放り投げられたかのような衝撃と共に、
私は意識を手放してしまった。



ふと気が付くと、そっと私の頭を撫ぜながら
こちらを見ているトシと目が合った。


K:「な、に…。今の…?」


T:「かすみ、気を失ってたみたいだよ。


息はしてるから、大丈夫と思ったけど。」


K:「ウソ…!ど、どれくらい?」


T:「5分くらいかな。」



まさか気を失ってしまうなんて…!


ビックリしたのと恥ずしさに、
まだ快感の余韻で重たい腕を持ち上げて顔を覆う。


K:「私ばっかりこんなになって…。


恥ずかしい…。」


T:「なんで?オレはすごく感激したよ。


かすみがこんなに感じてくれるなんて。


男冥利に尽きるとは、このことだよ。」


そう言って強く私を抱きしめてくれるトシ。



T:「で、もう身体は大丈夫?」


K:「え...?」


T:「まだまだ、終わりじゃないよ。」


K:「待って、待って!


あ…!」


それからさらに二度三度、
いやもう回数もわからないくらい高みに押し上げられ。


ようやくトシが果てた後は
腕一本動かせないくらい全身が重く、
そのまま深い眠りに引きずり込まれてしまった。



T:「かすみはホント、感じやすい身体してるなぁ。


ほら、こんなことするだけで…。」


そう言って私の全身をつつくトシ。


元々私はかなりのくすぐったがりだが、
行為の後はさらに皮膚感覚が鋭敏になっていて、
ほんの少し指先で撫でられるだけでもうダメ。


K:「や…!ダメ!
くすぐったいよ〜(笑)!」


そう言ってベッドの上で逃げ回る私の身体を押さえつけ、
さらに触れている間に、
トシの目が征服欲を帯びてくる。



そして再び私を貫くときのトシの顔は、
完全にオスそのものだ。


そして私は、
力強いオスに愛情を持って征服される一匹のメス。


本能を満たされるこの瞬間、
これ以上の快感はこの世に存在しないと確信した。

毎日がカウントダウン

デートのときはいつも、トシの車に乗り込むとすぐ、
トシが私の手をぎゅっと握ってくれる。


その日最初に触れ合うこの瞬間が、大好きだ。


そのままずっと指と指を絡め合った状態で、
目的地まで。


(片手運転だから、本当は危ないんですけどね…。)



先日のデートは、約2ヶ月ぶりだったこともあり、
とにかくトシの温もりに触れていたくて仕方がなかった。


お部屋に向かうエレベーターの中はもちろん、
靴を脱ぐ時でさえ、トシの身体にしがみつく。


そしてお部屋に入ってまずはソファで、
ギュッとハグしてもらう。


トシの身体はいつでも暖かい。


その温もりに包まれているだけで、
心も身体も甘く蕩けていくのがわかる。



しばらくしてトシが少し身体を離そうとしたので、
思わず首筋にしがみついた。


K:「まだ、ギュってしてて…。」


T:「今日は特別、甘えん坊だね(笑)」


K:「だって…。ずっとこうしたかったんだもん。


今日は1mmも離れないで、
ずっとくっついてるんだから。」


トシの首筋に鼻先を擦り付けながらそう言うと、


T:「はいはい、甘えん坊ちゃん。」


と、私の身体に回した腕に、
さらに力を込めてくれた。



ベッドで熱いひとときを過ごしてしばらくした後、
トシがベッドから抜け出そうとしている気配に気が付いた。


K:「どこ行くの?」


T:「ん?トイレ。」


K:「私も行く!」


T:「え?一緒に行くの?!」


K:「行くの!」


駄々っ子のようにトシの腰にしがみつく。



お手洗いの前まで着いて行ったまではいいが、
この先は自分でも想定外(笑)


T:「一緒に入ってオレがしてるとこ、見るの?」


K:「…う…。」


T:「見ててもいいけど、
じゃあオレもかすみがトイレ行ったら一緒に入るよ?」


K:「そ、それはイヤ…。」


T:「じゃあ、大人しくベッドで待ってなさい。」


K:「それもイヤ…。手だけドアから出してて。」


T:「それじゃ、トイレできないじゃん(笑)」


K:「...じゃあ、足だけ出してて。」


T:「全く、仕方ない子だなぁ(笑)」



大笑いしながらも、ドアの隙間から足先を出してくれるトシ。


私はお手洗いの前にペタンと座り、
自分の足をトシの足にくっつける。


たとえ足の親指だけだったとしても、
トシに触れているだけで心が満たされるから不思議。



帰り道も、同じように指と指を絡めて
待ち合わせ場所まで戻る。


いっぱい一緒にいてくれて、ありがとう。


会えて嬉しかった。


もっと一緒にいたい。


ずっとくっついていたい…。


色々な思いを指先に込めて、強くトシの手を握る。



T:「この時間が、一番切ないね。」


K:「…うん。」


T:「でもオレは、いつもかすみを見送るときに、
ここから次会うまでのカウントダウンが始まるんだ、
って思うようにしてるんだ。


だからまたかすみの笑顔が見れるまで、
頑張ろうって。」


私と会うことを目標に、
日々頑張ってくれているなんて。


トシの言葉に、涙が出そうになる。



トシの仕事の状況によっては
1ヶ月に2、3度会えることもあるし、
今回のように2ヶ月空いてしまうこともある。


今後もしかしたら、
もっと長く会えないことがある可能性もゼロではない。


でも、いつでも毎日がトシに会うまでの
カウントダウンなのだ。


一日が過ぎる度、トシの温もりが近くなる。


そう考えて、ワクワクしながら次の逢瀬を待とうと思う。