かすみ草の恋

アラフィフの今、出逢ってしまった運命の人。
お互い家庭がありながらも、最後の恋人として大切に愛を育んでいます。

毎日がカウントダウン

デートのときはいつも、トシの車に乗り込むとすぐ、
トシが私の手をぎゅっと握ってくれる。


その日最初に触れ合うこの瞬間が、大好きだ。


そのままずっと指と指を絡め合った状態で、
目的地まで。


(片手運転だから、本当は危ないんですけどね…。)



先日のデートは、約2ヶ月ぶりだったこともあり、
とにかくトシの温もりに触れていたくて仕方がなかった。


お部屋に向かうエレベーターの中はもちろん、
靴を脱ぐ時でさえ、トシの身体にしがみつく。


そしてお部屋に入ってまずはソファで、
ギュッとハグしてもらう。


トシの身体はいつでも暖かい。


その温もりに包まれているだけで、
心も身体も甘く蕩けていくのがわかる。



しばらくしてトシが少し身体を離そうとしたので、
思わず首筋にしがみついた。


K:「まだ、ギュってしてて…。」


T:「今日は特別、甘えん坊だね(笑)」


K:「だって…。ずっとこうしたかったんだもん。


今日は1mmも離れないで、
ずっとくっついてるんだから。」


トシの首筋に鼻先を擦り付けながらそう言うと、


T:「はいはい、甘えん坊ちゃん。」


と、私の身体に回した腕に、
さらに力を込めてくれた。



ベッドで熱いひとときを過ごしてしばらくした後、
トシがベッドから抜け出そうとしている気配に気が付いた。


K:「どこ行くの?」


T:「ん?トイレ。」


K:「私も行く!」


T:「え?一緒に行くの?!」


K:「行くの!」


駄々っ子のようにトシの腰にしがみつく。



お手洗いの前まで着いて行ったまではいいが、
この先は自分でも想定外(笑)


T:「一緒に入ってオレがしてるとこ、見るの?」


K:「…う…。」


T:「見ててもいいけど、
じゃあオレもかすみがトイレ行ったら一緒に入るよ?」


K:「そ、それはイヤ…。」


T:「じゃあ、大人しくベッドで待ってなさい。」


K:「それもイヤ…。手だけドアから出してて。」


T:「それじゃ、トイレできないじゃん(笑)」


K:「...じゃあ、足だけ出してて。」


T:「全く、仕方ない子だなぁ(笑)」



大笑いしながらも、ドアの隙間から足先を出してくれるトシ。


私はお手洗いの前にペタンと座り、
自分の足をトシの足にくっつける。


たとえ足の親指だけだったとしても、
トシに触れているだけで心が満たされるから不思議。



帰り道も、同じように指と指を絡めて
待ち合わせ場所まで戻る。


いっぱい一緒にいてくれて、ありがとう。


会えて嬉しかった。


もっと一緒にいたい。


ずっとくっついていたい…。


色々な思いを指先に込めて、強くトシの手を握る。



T:「この時間が、一番切ないね。」


K:「…うん。」


T:「でもオレは、いつもかすみを見送るときに、
ここから次会うまでのカウントダウンが始まるんだ、
って思うようにしてるんだ。


だからまたかすみの笑顔が見れるまで、
頑張ろうって。」


私と会うことを目標に、
日々頑張ってくれているなんて。


トシの言葉に、涙が出そうになる。



トシの仕事の状況によっては
1ヶ月に2、3度会えることもあるし、
今回のように2ヶ月空いてしまうこともある。


今後もしかしたら、
もっと長く会えないことがある可能性もゼロではない。


でも、いつでも毎日がトシに会うまでの
カウントダウンなのだ。


一日が過ぎる度、トシの温もりが近くなる。


そう考えて、ワクワクしながら次の逢瀬を待とうと思う。