毎日がカウントダウン
デートのときはいつも、トシの車に乗り込むとすぐ、
トシが私の手をぎゅっと握ってくれる。
その日最初に触れ合うこの瞬間が、大好きだ。
そのままずっと指と指を絡め合った状態で、
目的地まで。
(片手運転だから、本当は危ないんですけどね…。)
先日のデートは、約2ヶ月ぶりだったこともあり、
とにかくトシの温もりに触れていたくて仕方がなかった。
お部屋に向かうエレベーターの中はもちろん、
靴を脱ぐ時でさえ、トシの身体にしがみつく。
そしてお部屋に入ってまずはソファで、
ギュッとハグしてもらう。
トシの身体はいつでも暖かい。
その温もりに包まれているだけで、
心も身体も甘く蕩けていくのがわかる。
しばらくしてトシが少し身体を離そうとしたので、
思わず首筋にしがみついた。
K:「まだ、ギュってしてて…。」
T:「今日は特別、甘えん坊だね(笑)」
K:「だって…。ずっとこうしたかったんだもん。
今日は1mmも離れないで、
ずっとくっついてるんだから。」
トシの首筋に鼻先を擦り付けながらそう言うと、
T:「はいはい、甘えん坊ちゃん。」
と、私の身体に回した腕に、
さらに力を込めてくれた。
ベッドで熱いひとときを過ごしてしばらくした後、
トシがベッドから抜け出そうとしている気配に気が付いた。
K:「どこ行くの?」
T:「ん?トイレ。」
K:「私も行く!」
T:「え?一緒に行くの?!」
K:「行くの!」
駄々っ子のようにトシの腰にしがみつく。
お手洗いの前まで着いて行ったまではいいが、
この先は自分でも想定外(笑)
T:「一緒に入ってオレがしてるとこ、見るの?」
K:「…う…。」
T:「見ててもいいけど、
じゃあオレもかすみがトイレ行ったら一緒に入るよ?」
K:「そ、それはイヤ…。」
T:「じゃあ、大人しくベッドで待ってなさい。」
K:「それもイヤ…。手だけドアから出してて。」
T:「それじゃ、トイレできないじゃん(笑)」
K:「...じゃあ、足だけ出してて。」
T:「全く、仕方ない子だなぁ(笑)」
大笑いしながらも、ドアの隙間から足先を出してくれるトシ。
私はお手洗いの前にペタンと座り、
自分の足をトシの足にくっつける。
たとえ足の親指だけだったとしても、
トシに触れているだけで心が満たされるから不思議。
帰り道も、同じように指と指を絡めて
待ち合わせ場所まで戻る。
いっぱい一緒にいてくれて、ありがとう。
会えて嬉しかった。
もっと一緒にいたい。
ずっとくっついていたい…。
色々な思いを指先に込めて、強くトシの手を握る。
T:「この時間が、一番切ないね。」
K:「…うん。」
T:「でもオレは、いつもかすみを見送るときに、
ここから次会うまでのカウントダウンが始まるんだ、
って思うようにしてるんだ。
だからまたかすみの笑顔が見れるまで、
頑張ろうって。」
私と会うことを目標に、
日々頑張ってくれているなんて。
トシの言葉に、涙が出そうになる。
トシの仕事の状況によっては
1ヶ月に2、3度会えることもあるし、
今回のように2ヶ月空いてしまうこともある。
今後もしかしたら、
もっと長く会えないことがある可能性もゼロではない。
でも、いつでも毎日がトシに会うまでの
カウントダウンなのだ。
一日が過ぎる度、トシの温もりが近くなる。
そう考えて、ワクワクしながら次の逢瀬を待とうと思う。
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