かすみ草の恋

アラフィフの今、出逢ってしまった運命の人。
お互い家庭がありながらも、最後の恋人として大切に愛を育んでいます。

夏なんて、大キライ!

トシは屋外で過ごすことが主な仕事をしている。


専門的なことはわからないけれど、

日本でその作業ができる資格を持っているのは

ほんの数名らしい。


そしてトシはその資格を生かして

自分で会社を立ち上げ、

十数名の社員さんを雇う経営者でもある。


「オレは社長だ!と

椅子に踏ん反り返っているような経営者にはなりたくない。


俺の元で働いてくれてる社員たちには、

少しでもいい暮らしをさせてやりたいんだ。」


と、以前熱く語ってくれた。


その言葉通り、

トシは現場での作業にも必ず参加し、

社員さんたちといっしょに

汗まみれになって働いている。


さらに、事務員さんを雇うとそれだけ

人件費が嵩むから、

だったらその分社員たちに分けたい、

と、事務作業はトシが全て引き受けている。


しかも夜の作業もあるため、

昼夜通して働くこともしょっちゅう。


この夏は特に仕事が多く、

今週は昼夜昼夜昼夜と三日連続

通しで働く、って‥‥。


それって、人間の限界超えてない?!


と私が心配すると、


「ま、どうにかなるよ。


ならなかったら倒れるだけだ。」


と笑うトシ。


そんな文字通り身を削るようにして働いているトシに、

会えなくて寂しい

だなんて、言えるはずもない。


私にできるのは、

常に笑顔で穏やかな気持ちでいること。


ほんの少しでも隙間時間ができたら、

絶対私のために時間を空けてくれるはず。


それが分かっているから、

待っていられる。


でも。


トシを疲れさせる、この湿度と気温が憎い。


夏なんて、大キライ!!