かすみ草の恋

アラフィフの今、出逢ってしまった運命の人。
お互い家庭がありながらも、最後の恋人として大切に愛を育んでいます。

私の常識、アナタの非常識

子供たちがまだ幼稚園と小学校低学年だった頃、
夫の転勤で一家で3年間アメリカに駐在した。


家が決まって引っ越すやいなや
子供たちは現地の幼稚園と小学校に通うことに。


事前に彼らに叩き込んだフレーズは2つだけ。


Call my mom.

Where is the bathroom?



訳がわからないままアメリカに連れてこられ、
いきなり現地の学校に放り込まれた子供たち。


子供は言葉を覚えるのが早いから、
とよく言われているが、
それでも子供たちがある程度不自由なく
学校生活を送れるようになるには
半年から一年近くかかった。


我が子ながら、二人ともよく頑張ったと思う。



子供たちも言葉の通じない環境で
文字通り生き延びるのに必死だったと思うが、
私も様々な面で驚きの連続だった。


何しろ、こちらが常識だと思っていることが
アメリカでは通用しないことが多々あるのだ。



中でも私が一番驚いたのは、
テストの点数の付け方。


あるとき息子が持ち帰ったテスト用紙には、
「0」と片隅に数字が書かれ、
その下に大きく"Excellent!"と。


0点なのに、Excellentってどういうこと?!


しかもその文字が赤ではなく緑色で書かれていたため、
余計に意味不明だ。



後日わかったことは、
まずアメリカでは「100点満点」という概念がないということ。


日本は総合計が100点になるよう個々の問題の点数を調整し、
100点満点に対して何点取ったかで評価するが、
アメリカでは「何問間違えたか」が基準となる。


これも、アメリカ全土で必ずしも同じという訳ではなく、
パーセント表記で点数がつく場合もあるようだ。



また、日本人は採点や修正には赤を使う、
というのが常識だが、
これもアメリカでは決まった色はない。


さすがに黒い鉛筆で書かれた答案に
黒いペンで採点することはないようだが、
手近にある他の色のペンであれば、
青だろうと緑だろうと紫だろうと、なんだってOK。


一度など、息子のテストで半分まで青で採点してあり、
途中でインクが切れたのか、後半はオレンジ、
というカラフルな答案を返してもらったことがある。



この経験から学んだことは、
自分が常識だと信じていることが、
必ずしも他人の常識と同じではない、ということ。


加点ではなく減点方式の採点法があれば、
赤ではなく青、はたまたオレンジで修正を施すことだってある。


いくら自分が、
「満点は100点でしょ!」
「修正は赤でするのが常識でしょ!」
と主張したところで、相手によっては通用しないのだ。



恋愛に関しても同じ。


「付き合っているなら毎日連絡くれるのが当たり前」
「好きなら言葉にするのが常識」
「会う時間を作らないのは愛情がない証拠」


これらは女性側の「常識」かもしれないが、
男性側にとったら「非常識」なケースもあるに違いない。



そして常識というものは、長年培われたものだからこそ、
覆すのが非常に難しい。


ただ、自分の常識が必ずしも相手の常識とは限らない、
ということを意識していれば、
「こうして当然」
と思うのは傲慢だ、ということはわかるはずだ。


また相手が自分の常識と違うことをしたとしても
そういうこともあるかもしれない、
と納得できるだろう。



私の常識は、アナタの非常識。


でも、その違いを知るのも面白く、
また自分の枠を広げてくれるキッカケになるかもしれない。