かすみ草の恋

アラフィフの今、出逢ってしまった運命の人。
お互い家庭がありながらも、最後の恋人として大切に愛を育んでいます。

不倫の代償

今日は私のボーナス支給日。


非常勤なのでもらえる額は微々たるものだが、
やはり臨時収入は嬉しい。


そして今回のボーナスで
目標としていた貯金額に到達する。


その金額は、200万円。


不倫の慰謝料の相場だ。



トシとの関係は、いわゆるW不倫。


自分たちは心から愛し合っている、
といくら声高に主張したところで、
不貞行為であることは間違いない。


つまり、もしお互いの配偶者に
この関係が露呈した場合は、
慰謝料を請求されることもある、
ということだ。



トシと付き合い始めたとき、
罪悪感は全くと言っていいほどなかった。


これまたよくある言い訳ではあるが、
こうなることが私にとっては
とても自然なことだった。


ただ、家庭を壊すつもりがない以上、
バレないようにする配慮は必須。


場合によっては、
家族や周りに嘘をつくことも必要だ。



だが、どんなに細心の注意を払ったとしても
人間のすることに100%の確実さはない。


二人の関係がどちらかの家族にバレた場合
どうするか。


本当の意味の危機管理とは、
この事態を想定して
二人の考えを決めておくことだと思う。



付き合い始めてまだ3ヶ月経つかどうかの頃、
この質問をトシにぶつけてみた。


K:「万が一、どちらかの家族に
私たちのことがバレたら、どうするの?」


T:「お、いきなり核心を突いてくるね(笑)」


と笑いながらも、トシは真面目に答えてくれた。



T:「ウチの場合、
今までもオレが外で悪さしてるだろう
ってことはほぼバレてるから、
それほど大騒ぎにはならないと思う。


でも、もし配偶者がかすみに何かしようとしたら
全力でオレが阻止する。


かすみの家族にバレたら
オレは土下座でもなんでもするよ。


旦那さんに言われただけ慰謝料も払う。」



K:「ありがとう。


でも私、
今までもそんないい妻じゃなかったから、
三行半突きつけられて追い出されるかも…。」


T:「そしたらかすみ一人くらい
オレがなんとしてでも面倒みるよ。


一生一緒にいると言ったのは、
いいときばかりじゃなくて
何かあった時も含めてだから。


それくらい最初から覚悟してる。」



トシの言葉は、私に心からの安心を与えてくれた。


でも、全面的に甘える訳にはいかないのも事実。


本当に私が家を追い出されたとしても、
トシに私の生活まで背負わせる訳にはいかない。



そして金銭の問題だけではなく、
もしも私の家族が私の裏切りを知ったら、
夫や子供たちにどれほど深い傷を負わせることになるか。


私の母や兄弟、夫の両親も嘆くだろうし、
近しい友人を失う可能性もある。


職場への影響すら、全くないわけにはいかないだろう。



それでも。


たとえすべてを失うことになったとしても。


私はトシの手を離すことはできない。


だから…。



万が一、トシの奥様に慰謝料を請求されたら
自力で払えるように。


家庭を失うことになったとしても、
ひとりで生きていけるように。


私名義の別通帳に記載されるであろう
2000000の数字。


これが私の覚悟。